さくらももこ「ももこの宝石物語」読みました

以前のエントリーで書いた「ももこの宝石物語」を読みました。

 

レヴューでは結構ボロクソに言われてましたが・・・結論から言って、とても楽しいエッセイでしたよ!

 

昔ベストセラーになった「もものかんづめ」の雰囲気まんまの、自分のジュエリーにまつわるエッセイといった風情です。

1時間くらいでクスクス読める軽さも、忙しい身としてはハードルが低くてよかった。

 

さくらももこ氏独特の自虐と皮肉をのほほんとした笑いに変える視点は健在で、レヴューにあったような「金持ちになって変わってしまった」「満たされていないんですね」というものは全く感じなかったです。

 

むしろお金持ちになり、購入するもののケタが変化したとしても、さくら家の持つシュールさ、ちゃっかり感が存分に発揮されており、さくら氏とその家族の感性は全く変わらないように思えました。

 

 

 

ただ

 

単行本を一気に読むと(元はnon-noの月イチ連載)、時間の経過などが伝わりづらいのもあり、「短期間のうちに数十万のものをポンポン買っている」という印象を受けたのは確かにあります。

そしてレヴューの通り、銀座ベルエトワールにとってさくら氏はかなりの上顧客だったのだろうなと容易にわかる数々のエピソード。

 

この辺りが、ちびまるこちゃんの読者が「ついていけないっ」と思ってしまう所以かもね。

 

 

あとやはり、一般の人から妬みの声が多く聞かれてしまった理由としては、一般の人がそこまでジュエリーに深入りしていない(免疫がない)のも大きな一因だと思うわね。

 

この「ももこの宝石物語」も、

「ジュエリーに魅入られた人」とそうでない人で、全く受ける感覚が変わってくるのではないかしら。

 

一度ジュエリーに魅入られた人間はね・・・

 

30万円=あらお安い!

 

と感じるようになってしまう、恐ろしい世界なんだす。

( ´,_ゝ`)プッ

 

この感覚が意味不明と思う人からすると、「私なんて洋服に1万円使うにも熟考するのに・・・」という方向になってしまうのかもしれませんね。

 

 

ちなみに私はウン十万などの月収以上のジュエリーを買ったことはない小市民です。(ついつい5万とか10万とかのジュエリーとしては半端な価格帯に手を出しがち)

しかしとにかく一流ジュエリーを「見る」のがライフワークなため、30万や50万と聞くと、「あら安い」と思ってしまう感覚も持ち合わせております。

 

↑何が大切なのか、何が安いのか、だんだん分からなくなってくるジュエリーの魔境

 

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そんなこんなで「ももこの宝石物語」はとても楽しかったのだけれど・・・

 

よく文中で「この指輪はお母さんが死んだら私にちょうだい」とか、「いずれは自分の物になる」とか、ジュエリー特有の形見わけに関しての話がユーモアたっぷりに出てくる。

そういう話が出てくるたびに、ああ、と胸に寂しさがこみ上げる。

 

そして調べてわかったのだけれど、このエッセイに頻繁に登場する銀座ベルエトワールの岡本さんも、2017年に70代でお亡くなりになっている。

 

 

すべては一夜の夢のごとし・・・

 

本当に最近は、人の一生はお祭りのように開幕し、そしてあっという間だと思うわ。

 

でも「さくらももこ」の作品こそ、一部の人だけでなく広い層の心に残り続ける、ジュエリーよりも稀有なものと今しみじみ思います。

 

(了)

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